目次 住宅取得にかかわる税金
 1)不動産取得税
 2)消費税
 3)登録免許税
 4)印紙税
税金に関する小耳情報
 1)名義の工夫で税金が変わる
 2)住宅取得に関するこんな制度
 3)住宅取得に関する特例の利用
住宅取得にかかわる税金
  1)不動産取得税
   土地、建物などの不動産を取得した場合、その不動産が所在する都道府県が課する税金です。一般的には、都道府県から納税通知書が送付されてきますから、それにしたがって納付します。税率などは、家屋と土地とに分けて次のように設定されています。
  (1)家屋を取得した場合
   税率は、原則として、固定資産税評価額の4%ですが、その家屋が住宅である場合は3%と税率の軽減措置が設けられています。なお、その住宅が、次のような一定の要件を満たすものであるときは、さらに特例適用住宅として軽減措置が受けられます。
  新築住宅の場合(新築特例適用住宅) 床面積が50平米以上240平米以下
不動産取得税=(家屋の固定資産税評価額−1200万円)×3%
  中古住宅の場合(中古特例適用住宅) 床面積が50平米以上240平米以下
建築後20年(鉄骨、鉄筋コンクリート造りは25年)以内
  不動産取得税=(家屋の固定資産税評価額−新築時期に応じた控除額※)×3%
  「新築時期に応じた控除額」は下記のとおり。
  ※新築時期に応じた控除額
新築時期                     控除額
昭和51年4月1日〜昭和56年6月30日   350万円
昭和56年7月1日〜昭和60年6月30日   420万円
昭和60年7月1日〜平成元年3月31日   450万円
平成元年4月1日〜平成9年3月31日   1000万円
平成9年4月1日以降            1200万円
  (2)土地を取得した場合
  宅地を取得した場合の不動産取得税については、その取得が平成14年12月31日までのものであれば、固定資産税評価額の2分の1を課税標準とすることになっています。
  また、平成16年6月30日までの取得であれば、税額を4分の3に減額する軽減措置が設けられています。この軽減措置の適用を受けるには、次の要件を満たす必要があります。
  1.土地を取得した後3年以内に、その土地の上にある住宅を取得するか、住宅を新築したとき
2.住宅を取得した後、1年以内にその敷地を取得したとき
  これらをまとめると、住宅用地を取得したときの不動産取得税の税額の計算式は、次のようになります。
  不動産取得税=課税標準(固定資産税評価額×2分の1)×税率4%×軽減割合4分の3
  さらに、取得した土地が下表のような一定の要件を満たす場合は、上記算式によって算出した税額から、次のAかBのどちらか多い金額を控除することができます。
  A=4万5000円(150万円×4%×4分の3)
B=1平米当りの固定資産税評価額×2分の1×住宅の床面積の2倍(200平米を限度とする)×4%×4分の3
  建物が新築住宅の場合 土地を取得後3年以内にその土地の上に新築特例適用住宅を新築したとき
新築特例適用住宅を新築後1年以内にその敷地を取得したとき
未使用の新築特例適用住宅とその敷地を新築後1年以内に取得したとき
建物が中古住宅の場合 土地を取得後1年以内にその土地の上にある中古特例適用住宅を取得したとき
中古特例適用住宅を取得後1年以内にその敷地を取得したとき
  2)消費税
   不動産業者など、消費税の課税事業者から建物(土地は非課税)を取得したときに、建物の購入価額に対して5%の税率でかかります。また、業者に支払う仲介手数料については、土地・建物の区分に関係なく、仲介手数料に対して5%の税率でかかります。
  3)登録免許税
   不動産を取得した場合、土地については所有権移転登記、建物については所有権保存登記や所有権移転登記を行ないますが、これらの登記の際にかかる税金です。住宅については、建物のみに軽減措置(住宅特例)が設けられています。この特例を受けるための要件は、次のとおりです。
  (1) 自分のための居住用家屋で、床面積が50平米以上
(2) 中古住宅の場合は、建築後20年(鉄骨・鉄筋コンクリート造りは25年)以内
(3) 新築または取得後1年以内に登記する
(4) 登記申請書にその家屋の所在地の市町村長などがこれらの家屋に該当する旨の証明をした書類を添付する
  なお、公庫融資の場合の抵当権設定登記については、非課税となっています。
  登記の種類 課税標準 通常税率 住宅特例
(建物のみ)
所有権保存登記(新築など) 固定資産税評価額 0.6% 0.15%
所有権移転登記(売買など) 固定資産税評価額(注) 5% 0.3%
抵当権設定登記 債権金額 0.4% 0.1%
(注)土地についての課税標準は、固定資産税評価額の3分の1
  4)印紙税
   不動産取得に際して、不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、工事請負契約書などを作成した場合、次のように契約書に記載された金額に応じて印紙税がかかります。 ・不動産売買契約書などの不動産の譲渡に関する契約書(契約金額が1000万円超の場合はカッコ内の税額を適用。平成15年3月31日までの時限措置)
  ・金銭消費貸借契約書などの消費貸借に関する契約書 記載契約金額が1万円未満→非課税
 記載契約金額が1万円以上〜10万円以下→200円
 記載契約金額が10万円超〜50万円以下→400円
 記載契約金額が50万円超〜100万円以下→1000円
 記載契約金額が100万円超〜500万円以下→2000円
 記載契約金額が500万円超〜1000万円以下→1万円
 記載契約金額が1000万円超〜5000万円以下→2万円(1万5000円)
 記載契約金額が5000万円超〜1億円以下→6万円(4万5000円)
 記載契約金額が1億円超〜5億円以下→10万円(8万円)
 記載契約金額が5億円超〜10億円以下→20万円(18万円)
 記載契約金額が10億円超〜50億円以下→40万円(36万円)
 記載契約金額が50億円超〜→60万円(54万円)
 契約金額の記載のない契約書→200円   
  ・工事請負契約書などの請負に関する契約書 (建設工事の請負契約書のうち契約金額が1000万円超の場合はカッコ内の税額を適用。平成15年3月31日までの時限措置) 記載契約金額が1万円未満→非課税
 記載契約金額が1万円以上〜100万円以下→200円
 記載契約金額が100万円超〜200万円以下→400円
 記載契約金額が200万円超〜300万円以下→1000円
 記載契約金額が300万円超〜500万円以下→2000円
 記載契約金額が500万円超〜1000万円以下→1万円
 記載契約金額が1000万円超〜5000万円以下→2万円(1万5000円)
 記載契約金額が5000万円超〜1億円以下→6万円(4万5000円)
 記載契約金額が1億円超〜5億円以下→10万円(8万円)
 記載契約金額が5億円超〜10億円以下→20万円(18万円)
 記載契約金額が10億円超〜50億円以下→40万円(36万円)
 記載契約金額が50億円超〜→60万円(54万円)
 契約金額の記載のない契約書→200円
税金に関する小耳情報
  1)名義の工夫で税金が変わる
  そこで、登記するときの名義を工夫すれば、次のような場合は余分な税金を払わなくてすみますので、あらかじめよく理解してかかることが肝要です。
  (1) 親の援助分は親の持分として登記
 親から資金援助を受けた場合、親からの援助分に見合う分は親の名義で登記します。親からの資金援助分も含めてすべて子ども名義で登記した場合、親からの資金援助分は、親から子へ資金の贈与があったものとして、子どもに贈与税がかかってきます。それを回避するため、親からの資金援助分については、親の持分として登記しておくのです。
  ただし、一定の要件を満たす場合には、親からの資金援助1500万円までの部分については贈与税を軽減してくれる特例もあります(「住宅取得資金贈与の特例の活用」参照)。
  (2) 共働き夫婦は拠出割合で持分登記
 共働きの夫婦が資金を出し合ってマイホームを取得する場合、持分登記は、住宅ローンを含めた資金の拠出割合で行ないます。それをやらず土地・建物をすべて夫名義にした場合、妻の拠出した資金に相当する分は、妻から夫に贈与されたものとして、夫に贈与税がかかることになります。
  (3) 夫婦ともローン負担すれば双方がローン控除できる
 共働きの夫婦が資金を出し合ってマイホームを取得する場合、それぞれが住宅ローンを組んでいて、一定の要件を満たしているならば、双方に住宅ローン控除の適用が受けられます(次項「住宅ローン控除の活用」参照)。もちろん、この場合にも贈与税がかからないよう、(2)のとおり持分登記します。
   そうすると、夫婦が借入れについて連帯債務者となっていれば、夫婦各々が、それぞれの借入金年末残高に応じて住宅ローン控除の適用を受けることができます。つまり、共働き夫婦の場合には、借入れの際に連帯債務者としておけば、住宅ローン控除額がトータルで多く受けられるということになります。なお、配偶者のどちらかが連帯保証人になっている場合は、連帯債務者ではありませんから、夫婦2人分の住宅ローン控除の適用を受けることはできません。この連帯「保証人」と連帯「債務者」との違いには、十分な注意が必要です。
   ところで、金融機関によっては、夫婦の連帯債務という契約を取り扱っていないところもあるようです。その場合は、夫婦各々が住宅ローンを組めば、それぞれ住宅ローン控除の適用を受けられます。
  2)住宅取得に関するこんな制度
   平成11年から講じられていた住宅ローン控除制度が平成13年6月末をもって終了するのに伴い、新住宅ローン減税制度が設けられました。その概要は次のようになっています。
  居住の用に供する時期 平成13年7月1日から平成15年12月31日まで
控除対象ローン年末残高 最高5000万円
控除期間 10年間
税額控除額 最高500万円
控除率 1%
控除対象 建物、土地に対応する分の借入金
控除対象となる床面積基準 50平米以上
中古住宅の場合の築後年数の条件 耐火建築物は25年、その他の建築物は20年
居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度との重複適用 併用可
   住宅ローン税額控除制度の適用を受けるには、以下の要件を満たしていることが必要です。
(1) 新築住宅であること。
  中古住宅(親族などからの取得でないこと)の場合は、建築後、20年(耐火建築物は25年)以内であること
(2) 床面積は50平米以上であること (上限なし)
(3) 床面積の50%以上がもっぱら自己の居住の用に供されていること
(4) 取得した年の12月31日までに自己の居住の用に供していること
(5) 新築または取得の日から6か月以内に居住の用に供し、その後も引き続き居住の用に供していること
(6) 一定の金融機関等から住宅、またはその敷地を取得するための借入金等 (返済期間10年以上) があること
(7) 合計所得金額が3000万円以下 (給与収入だけの場合には、年収3336万8422円以下) であること
(8) 居住年およびその前後2年内の所得税について、以下のいずれかの特例の適用を受けていないこと
  居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
居住用財産の譲渡所得の3000万円特別控除
居住用財産の買換え・交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えおよび交換の場合の譲渡所得の課税の特例
認定事業用地適正化計画の交換の特例
   この住宅ローン控除を受けるためには、最初の年に確定申告をしなければなりません。給与所得者の場合は、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除の適用を受けられるので、確定申告をする必要はありません。
  3)住宅取得に関する特例の利用
   「マイホームが欲しいが自己資金が足りない、親に泣きついてみようか」ということで、親から資金援助を受けるケースも多いようです。
   通常、親から資金援助を受けると、贈与税がかかってきます。しかし、贈与税には、合計所得金額1200万円以下(給与収入だけの場合は、年収1442万 1053円以下)の人が住宅を取得するために父母や祖父母から資金の贈与を受けた場合、1500万円までの部分の贈与税を大幅に軽減してくれる「住宅取得資金贈与の特例」という制度が設けられています。これを活用すれば、マイホーム取得のための親からの資金援助には、550万円までなら贈与税がかからない勘定です。
   この特例の適用を受けた場合の贈与税の計算は、次の算式により行ないます。
   適用要件は、次のようになっています。
(1)贈与を受けた金銭は、自分の父母か祖父母からのものであること(配偶者の父母や祖父母からのものは対象外)
(2) 贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその資金の全額を居住用家屋(敷地を含む)の取得にあて、居住の用に供するか、居住の用に供する見込みであること
(3) 家屋の床面積は、50平米以上で、なおかつその床面積の50%以上が居住用であること
(4) 中古住宅の場合は、築後20年(鉄骨・鉄筋コンクリート造りなどの耐火建築物は25年)以内のものであること
(5) 贈与を受けた年の合計所得金額が1200万円以下であること
(6) 贈与を受けた日前5年内に、本人や配偶者の所有する住宅に居住したことがないこと
(7) 過去にこの特例の適用を受けたことがないこと
   この特例は、5年分の贈与税の基礎控除額550万円(110万円×5年)を先取りするものです。その結果、550万円以上の住宅取得資金の贈与を受けた場合には、翌年以降4年間の基礎控除は0ということになります。したがって、この4年間に別な財産の贈与を受けた場合、基礎控除がありませんから注意が必要です。
   なお、この特例は、贈与税の確定申告をすることが条件となっています。贈与を受けた年の翌年に、確定申告をしてください。